お知らせ

2013年4月のあいさつ

img002医薬分業について

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 4月1日から外来の処方せんが「院外」に変更され、これからは病院外の調剤薬局に調剤をお願いすることになりました。診療と調剤を別々の機関で行う「医薬分業」には、メリットとデメリットがあると思います。複数の医療機関で治療を受けている患者さんも少なくありません。かかりつけの調剤薬局を利用することで、服用している薬剤全体が管理され、副作用や薬剤同士の相互作用を防止できること、服薬指導等のサービスが向上することなどがメリットになります。一方、病院と薬局の2カ所に行かなければならないこと、支払額が増える場合があることなどがデメリットです。医療の質と安全性を向上させるための「医薬分業」ですので、ご理解のほどをお願いいたします。
 認知症疾患医療センターを開設して1年余が過ぎました。「認知症になっても安心して暮らせる津軽」を目指して活動しています。5月から「もの忘れ外来」を稼働させる予定です。もの忘れなどに気づき、認知症を心配している方の相談から診察・検査・診断・治療までのプロセスを整備、改善し、認知症に関連するさまざまなニーズに応えていこうと考えています。(2013年4月)

2011年5月のあいさつ

img002安心して暮らせる地域を目指して

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 震災から2ヶ月余が過ぎました。先日、三陸を訪れてみました。 津波に根こそぎさらわれた被災地の街並はまるで時が止まったかのようですが、未来に向けて少しずつ動き出した人々の息づかいを感じることもできました。 とりわけ、何もない中に遊びや楽しみを見つけ出す子どもたちのたくましさに、希望ということばが重なりました。
 震災を機に皆さまもいろいろなことを考えたことと思います。 普通に生活できることのありがたさ。普通の生活を支える生産や物流のシステム、電気や水道といったライフライン。 そういった普通の生活は決して盤石ではないということも実感しました。
 当院も震災後の停電で電子カルテシステム等が動かなくなり、通常の診療を行えなくなりました。 電気は安定供給されるという油断があったと反省しています。 医療は人々の生命と安全を支える役割があり、どのような状況でも継続しなければならないと考えており、 現在、自家発電の電力増強など停電時でも診療機能を維持できるような体制を整備しております。
 被災地では病気や障害のある人たちが大変な苦労をしています。災害はいつ起こるか分かりません。 災害があっても病気や障害のある人たちが安心して暮らせる地域を目指して、これからも地域に根ざした活動をしていきたいと思います。(2011年5月)

2010年3月のあいさつ

img002地域がHospitalに

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 季節はめぐり、春の気配を感じる頃になりました。
 昨年12月にデイケア棟が新築され、デイケア「あゆみ」という愛称で順調に運営されています。檜の壁に囲まれたミニ体育館、カラオケ完備の視聴覚室、バイキング風セルフ配膳の食事、ゆったりした浴場等々、快適な環境は利用者にも好評です。
 この3月15日から電子カルテシステムが本格稼働しています。電子カルテ導入の目的はいくつかありますが、最大の利点は情報共有です。病院ではさまざまな職種、部門が活動しています。電子カルテという道具により、瞬時にそれぞれのもつ情報を共有できるようになります。それによって一貫性のある治療、安全な治療がもたらされ、医療の質の向上につながるものと考えています。
 人は誰でも年をとり、あるいは病を得ます。思うように身体や頭が動かなくなったとしても、できれば住み慣れた家で生活していきたいと思うもの。Hopitalの語源は「おもてなし」です。地域全体がHospitalとして高齢者や病気の人を穏やかに温かく支えていける文化がこの津軽の地に育むことを願い、力を尽くしていきたいと思います。(2010年3月)

2008年8月のあいさつ

img002地域がHospitalに

院長 田崎 博一(たさき ひろいち)

 北京オリンピックが終わり、季節はいつの間にか秋になっていました。
病院施設整備として今春、一部の病棟で未整備だったエアコンを全病棟全室に整備しました。それもあってか、入院されている方々の多くは体調を崩すことなくこの夏を乗り切りました(例年よりも涼しい夏だったのも事実ですが)。
 先日(8月20日)、「夏祭り」ということで病院玄関前に焼き鳥、焼きそば、たこ焼きなどの屋台を並べ、患者さん、職員、それにたくさんの地域の方々にも立ち寄っていただき、楽しい時間を持つことができました。NPO法人「八幡の邑」からは“採りたて安全野菜”販売の出店があり、あっという間に完売になりました。病院と地域の垣根をなくし、学校や保育園のように地域の中に精神科病院が自然に存在しているような雰囲気ができればと思います。
 9月1日、弘前市原ヶ平に精神障害者グループホーム「陽だまり」が産声を上げます。NPO法人「八幡の邑」が運営します。当院関連としては初めての「住まいの場」を提供する事業です。この事業を理解、応援していただいた原ヶ平の皆さまに心からお礼申し上げます。
 Hopitalの語源は「おもてなし」です。人は誰でも年をとり、あるいは病を得ます。地域全体がHospitalとして高齢者や病気の人を穏やかに温かく支えていける文化がこの津軽の地に育むことを願っています。(2008年8月)

2008年4月のあいさつ

img002新しい年度を迎えて

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 新しい年度が始まりました。定年退職等で何人かのスタッフが病院を去られ、学校を修了した若い人たちを含めて新たなスタッフを迎えました。 私も気持ちを引き締めているところです。 病院の理念を実現するために、利用者一人一人の思いに耳を傾け、質の高い医療福祉サービスを提供できるように職員全員が研鑽、努力を重ねていきたいと考えています。
 新年度にあたり、いわゆる事業計画というものを作成しました。 いくつかの柱があります。「外来診療と急性期入院医療の機能強化」、「地域生活支援」、「入院療養環境の整備」、「病院運営の透明化と効率化」、「職員の資質向上」、「学生教育」といったところです(硬い用語ですみません)。
 外来は病院の窓口、玄関です。訪れる方を暖かくお迎えし、かつ質の高い医療を提供することを目指します。 当院は青森県で唯一、急性期治療病棟の認可を受けている精神科病院です。 その機能を高め、いかなる病状にも対応できる態勢を整え、できるだけ短期間での回復、退院を図ります。 入院療養環境とはいわゆるアメニティです。 安心して療養に専念できるよう、たとえばトイレをウォッシュレットに改修するなどアメニティ改善のための整備を行います。
 当院には看護師、作業療法士、精神保健福祉士などを目指して学業に励むたくさんの学生が実習に来ており、これからの医療を担う若い世代の教育にも力を注いでいます。
 最近、「社会はどうなってしまうのだろうか」と不安を抱かざるを得ないような事件が続いています。 便利さや経済的な豊かさと引き替えに私たちが失ってしまった人と人との絆や暖かさ。 誰もがこころ安らかに生活できる社会を取り戻すためにどうしたらよいのか。 難しい課題ですが、私たちも医療という営みを行いながら、考え、情報を発信していきたいと思います。(2008年4月)