病院の特徴

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 弘前愛成会病院はわが国が戦後の混乱と貧困を未だ抜け出せない時代、昭和28年11月に25床の安原病院として開設されました。以来、今日に至るまで60年余の歴史を刻んできたことになります。「精神病が差別や偏見を生み出し不幸の病になっている現状を打開したい」という開設者、三浦昌武(初代理事長)の情熱と丸井清泰弘前大学初代学長および山村道雄弘前大学精神科教授の理解と協力を礎に設立されました。その後、精神科病院開設・増床の時代から薬物治療の発展に伴う外来治療中心への流れを経て、精神障害者の人権保護と社会復帰への方向付け、ノーマライゼーション、病床数削減と社会復帰関連システムの整備、入院期間短縮・地域移行、病棟機能分化へと変化する精神医療の潮流の中で、地域の基幹病院としての役割を果たして参りました。

 医療制度全体が見直され、精神医療の軸は入院療養から地域生活支援に転換しつつあります。当院は平成15年12月より精神科急性期治療病棟の認可を得て運用を開始し、精神科救急の実績を重ね、令和2年8月には精神科救急入院料算定病棟(いわゆるスーパー救急病棟)の認可を得ました。24時間365日体制で精神科救急に対応し、多職種からなるチームアプローチで集中的に医療を提供し早期の回復を目指す治療プログラムを実施しています。また、精神療養病棟では障害の状態を考慮し本人やご家族のニーズを大切にするきめ細やかな医療とケアを提供しています。平成18年4月には認知症病棟(現認知症治療病棟)を開設し、平成23年11月には青森県から認知症疾患医療センター(地域型)の指定を受けるなど、高齢化社会の重要な問題である認知症に対する診療体制の充実を図りました。外来・在宅生活支援部門ではそれぞれが抱える問題に丁寧に対応する診療を心がけ、平成19年9月には院内に在宅生活支援センターを設置、訪問看護やデイケアを活用しながら、利用される方々の生活の充実と自己実現を支援しています。

 精神科医療に求められる多様なニーズに対応できる外来診療機能の整備、救急・急性期入院治療及び認知症に伴う行動障害等の入院治療の充実を図るために外来診療棟と病棟(3つの病棟と作業療法室、給食部門など)の改築・新築を平成26年から開始し、平成27年12月、これらの建築が完了しました。精神科救急入院料算定病棟は52床中35床(67.3%)を個室し、棟内にいわゆるストレスケアユニットを設置するなど、より安全で快適な療養環境への改善を図りました。

 平成23年の東日本大震災での教訓をもとに災害時の精神医療体制確保の必要性が認識される中、当院では災害派遣精神科医療チーム(DPAT)を結成・登録し、平成28年の熊本地震の際には現地での支援活動を行いました。その後も院内の体制や設備の整備を重ね、令和3年4月には災害拠点精神科病院の指定を受けました。被災地支援に加え、当地に災害が発生したときにも医療体制を維持し、地域住民の支援及び精神障害者への医療提供を継続し、拠点医療機関としての役割を果たせるよう研鑽を積んでいるところです。