院長あいさつ

こころが傷ついたときの安全で安心な癒しの場所として(2025年11月1日)

 院長 近藤 毅(こんどう つよし)

 こころの悩みは、誰かに打ち明けることが難しく、受診をためらわれる方も少なくありません。当院は、地域の皆様に安心・安全な医療を提供することを、最も重要な使命と考えております。こころが傷ついたときにも、「勇気を出して来てよかった」と感じていただけるような、開かれた病院づくりを目指し、その方らしさを取り戻すための癒しの時間と空間を提供できるよう、職員一同、誠心誠意取り組んでまいります。
 精神科医療は、年齢や性別を問わず、人生のあらゆるライフステージに寄り添うことが求められます。たとえば、幼少期における神経発達症や学童期以降の社交不安症への早期対応、青年期から中年期にかけてのうつ病や統合失調症の回復支援、高齢期における認知症の予防、さらには戦後世代の高齢化に備えた地域包括ケアの推進など、幅広い領域にわたります。当院では、小児から高齢者まで、地域の多様なニーズに応えながら、柔軟かつ個別性の高い医療を追求し、一人ひとりの背景や価値観を尊重した支援を行っております。
 こうした医療の質を支えるのは、チームの力です。当院では、医師・看護師・公認心理師・精神保健福祉士など多職種が連携し、総合力を発揮するチーム医療を推進することで、より包括的で持続可能なケアの実現を目指しています。また、次世代の医療人材の育成と継承にも力を注ぎ、未来に向けた精神科医療の発展にも貢献してまいります。
 地域に根ざし、誰もが安心して相談できる病院づくりを目指して、今後も職員一同、歩みを進めてまいります。引き続き、皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2017年2月11日のあいさつ

院長 田﨑 博一

「人生の物語」を慈しむ医療を目指して

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 誰にとっても、自分の人生はかけがえのないものです。人生の物語は必ずしも順風満帆ではありません。時に傷つき、挫折し、病を得ることもあります。それでも人生は一度きり。地球や宇宙の歴史に比べれば、ささやかな年月かもしれませんが、大切な人生です。それは、誰のものでもない.その人独自のものです。

医療、とりわけ精神医療という営みはしばしば、人生の物語のとても大事な場面にかかわることになります。苦悩の中にあるとすれば手を差しのべることができるかもしれません。絶望の淵に立っているとすればともに光を探せるかもしれません。混乱が激しければ自分を取り戻すまでの安全な時間と空間を提供できるかもしれません。大切な決定をしなければならないときに必要な情報を提供できるかもしれません。私たちが医療を通してできることは病を癒すことと、一人一人の人生を大切にし、それを支えることだと思っています。百人の人がいれば、そこには百の物語があります。私たちはその物語一つ一つを大切にする医療を展開していきたいと考えています。

病院の主人公は言うまでもなく利用者の方々です。利用者に信頼される病院であることを目指すと同時に、誰もが、住み慣れたこの地でこころ安らかに生活できるように、病院が地域に貢献できることを願っております。

2015年12月のあいさつ

img002新病棟での診療が始まりました

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 新病棟の工事が完了しました。工事全体の竣工は旧病棟の解体や外構整備が終わる平成28年8月頃になる予定です。この度工事を終えた新棟には3つの病棟が入ります。新棟の設計・施工にあたっては、利用者が快適に療養できる環境であることに専心し、急性期治療病棟として運用する2階フロアは55床中35床(63.6%)を個室とするなど(3つの病棟175床の個室率は64床、36.6%)、多床室を含めてプライベートな空間の確保に配慮しました。トイレはすべてをウォッシュレットとし、個室の7割(45室)にはテレビ、ミニ冷蔵庫を設置しました。
入院される方は、入院に至るまでの間に大変なご苦労をされていることが少なくありません。安全で快適な環境でそれまでの苦労を癒やしていただければと考えております。今後、さらにチーム医療の体制を整え、利用者のニーズに適切に応えていけるよう、職員一同、努力して参ります。(2015年12月22日)

2015年5月のあいさつ

img002外来が新しくなりました

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 昨年11月から新しい外来棟で診療しています。玄関前に植えた芝桜は小さな花を開きました。外来棟中庭の植栽もまだ小さな枝ですがそれぞれに花を咲かせています。待合室で診察を待つ時間は緊張するものです。少しでもリラックスできるように待合室はゆったりとした空間を確保しました。
 病棟の工事は着々と進行しています。基礎工事が終わり、これから1階部分の工事に入ります。今年の12月竣工を目指しています。それまでの間、仮設病棟での診療となり、ご不便をお掛けしますが、何卒ご了解ください。
 津軽の地も人口が少しずつ減少しています。病気や障害をかかえながらの一人暮らし、病気の子どもさんを支えてきたが自分自身も歳を重ね、家族だけでは支えきれなくなっている方。病気とともに生きて行くことのさまざまな困難を目にします。当院では訪問看護チームが在宅での医療や生活を支援しています。ぜひ、ご相談ください。(2015年5月1日)

2014年7月のあいさつ

img002改修工事が始まりました

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 病院の改修工事が始まりました。現在は、8病棟として使用していた建物を新外来棟に改修する工事が進んでいます。通院治療を受けられる方が年ごとに増えており、外来診療スペースが手狭になっておりました。完成すると待合スペースや診察室が増える予定です。現在の外来棟と新外来棟の間、調剤薬局側の道路に面して新しいエントランスを作ります。新外来棟の工事は今年の秋に完成します
 新外来棟が完成すると検査部門もそちらに移り、病棟の工事に入ります。現在の7病棟の建物を解体し、急性期対応病棟、認知症治療病棟など3つの病棟が入る棟を新築します。個室の割合を増やし、安全で快適な入院治療を受けることができるように準備を進めています。  平成28年秋にはこれらの工事が完了する予定ですが、それまでは仮設の病棟や通路を利用していただくなど、大変なご不便、ご迷惑をかけることになります。安全を確保しながら診療はこれまで通り続けますので、ご了解のほどをお願いいたします。(2014年7月)

2014年3月のあいさつ

img002病院の改修が始まります

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 4月から病院の改修工事が始まります。病棟の一部改築と外来の移転拡張を予定しています。
 通院治療を受けられる方が年ごとに増えており、外来診療スペースが手狭になっておりました。現在、病棟として使用している建物を改修して、新しい外来を作り、待合スペースや診察室を増やす予定です。駐車場の面積も広くなります。
 また、病棟については、急性期対応病棟、認知症治療病棟など3つの病棟を新築移転します。個室の割合を増やし、安全で快適な入院治療を受けることができるように準備を進めています。
 約2年半後の平成28年秋にはこれらの工事が完了しますが、それまでは仮設の病棟や通路を利用していただくなど、大変なご不便、ご迷惑をかけることになります。安全を確保しながら診療はこれまで通り続けます。ご了解のほどをお願いいたします。(2014年3月)

2013年4月のあいさつ

img002医薬分業について

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 4月1日から外来の処方せんが「院外」に変更され、これからは病院外の調剤薬局に調剤をお願いすることになりました。診療と調剤を別々の機関で行う「医薬分業」には、メリットとデメリットがあると思います。複数の医療機関で治療を受けている患者さんも少なくありません。かかりつけの調剤薬局を利用することで、服用している薬剤全体が管理され、副作用や薬剤同士の相互作用を防止できること、服薬指導等のサービスが向上することなどがメリットになります。一方、病院と薬局の2カ所に行かなければならないこと、支払額が増える場合があることなどがデメリットです。医療の質と安全性を向上させるための「医薬分業」ですので、ご理解のほどをお願いいたします。
 認知症疾患医療センターを開設して1年余が過ぎました。「認知症になっても安心して暮らせる津軽」を目指して活動しています。5月から「もの忘れ外来」を稼働させる予定です。もの忘れなどに気づき、認知症を心配している方の相談から診察・検査・診断・治療までのプロセスを整備、改善し、認知症に関連するさまざまなニーズに応えていこうと考えています。(2013年4月)

2011年5月のあいさつ

img002安心して暮らせる地域を目指して

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 震災から2ヶ月余が過ぎました。先日、三陸を訪れてみました。 津波に根こそぎさらわれた被災地の街並はまるで時が止まったかのようですが、未来に向けて少しずつ動き出した人々の息づかいを感じることもできました。 とりわけ、何もない中に遊びや楽しみを見つけ出す子どもたちのたくましさに、希望ということばが重なりました。
 震災を機に皆さまもいろいろなことを考えたことと思います。 普通に生活できることのありがたさ。普通の生活を支える生産や物流のシステム、電気や水道といったライフライン。 そういった普通の生活は決して盤石ではないということも実感しました。
 当院も震災後の停電で電子カルテシステム等が動かなくなり、通常の診療を行えなくなりました。 電気は安定供給されるという油断があったと反省しています。 医療は人々の生命と安全を支える役割があり、どのような状況でも継続しなければならないと考えており、 現在、自家発電の電力増強など停電時でも診療機能を維持できるような体制を整備しております。
 被災地では病気や障害のある人たちが大変な苦労をしています。災害はいつ起こるか分かりません。 災害があっても病気や障害のある人たちが安心して暮らせる地域を目指して、これからも地域に根ざした活動をしていきたいと思います。(2011年5月)

2010年3月のあいさつ

img002地域がHospitalに

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 季節はめぐり、春の気配を感じる頃になりました。
 昨年12月にデイケア棟が新築され、デイケア「あゆみ」という愛称で順調に運営されています。檜の壁に囲まれたミニ体育館、カラオケ完備の視聴覚室、バイキング風セルフ配膳の食事、ゆったりした浴場等々、快適な環境は利用者にも好評です。
 この3月15日から電子カルテシステムが本格稼働しています。電子カルテ導入の目的はいくつかありますが、最大の利点は情報共有です。病院ではさまざまな職種、部門が活動しています。電子カルテという道具により、瞬時にそれぞれのもつ情報を共有できるようになります。それによって一貫性のある治療、安全な治療がもたらされ、医療の質の向上につながるものと考えています。
 人は誰でも年をとり、あるいは病を得ます。思うように身体や頭が動かなくなったとしても、できれば住み慣れた家で生活していきたいと思うもの。Hopitalの語源は「おもてなし」です。地域全体がHospitalとして高齢者や病気の人を穏やかに温かく支えていける文化がこの津軽の地に育むことを願い、力を尽くしていきたいと思います。(2010年3月)

2008年8月のあいさつ

img002地域がHospitalに

院長 田崎 博一(たさき ひろいち)

 北京オリンピックが終わり、季節はいつの間にか秋になっていました。
病院施設整備として今春、一部の病棟で未整備だったエアコンを全病棟全室に整備しました。それもあってか、入院されている方々の多くは体調を崩すことなくこの夏を乗り切りました(例年よりも涼しい夏だったのも事実ですが)。
 先日(8月20日)、「夏祭り」ということで病院玄関前に焼き鳥、焼きそば、たこ焼きなどの屋台を並べ、患者さん、職員、それにたくさんの地域の方々にも立ち寄っていただき、楽しい時間を持つことができました。NPO法人「八幡の邑」からは“採りたて安全野菜”販売の出店があり、あっという間に完売になりました。病院と地域の垣根をなくし、学校や保育園のように地域の中に精神科病院が自然に存在しているような雰囲気ができればと思います。
 9月1日、弘前市原ヶ平に精神障害者グループホーム「陽だまり」が産声を上げます。NPO法人「八幡の邑」が運営します。当院関連としては初めての「住まいの場」を提供する事業です。この事業を理解、応援していただいた原ヶ平の皆さまに心からお礼申し上げます。
 Hopitalの語源は「おもてなし」です。人は誰でも年をとり、あるいは病を得ます。地域全体がHospitalとして高齢者や病気の人を穏やかに温かく支えていける文化がこの津軽の地に育むことを願っています。(2008年8月)