「口腔ケアチーム」の活動を紹介します

 精神科の入院患者様は虫歯や歯周病を抱えている方も多く、歯を失う前に早期のアプローチを行うため「口腔ケアチーム」が結成されました。平成30年度から精神科急性期病棟で高齢者を対象にして始まった口腔ケアチームの活動は、現在では対象を全病棟に広げ、スタッフや患者の教育、口腔内の状態を見て回るラウンドに力を入れています。

 

◎当院独自のOCP(Oral care Profession)制度の導入

OCP」とは、当院独自の認定講習を修了した口腔ケアの指導者のことを指します。

口腔ケアに関する専門的な知識・技術を持ち、病棟スタッフの相談を受け負いながら指導を行っています。勉強会や病棟ラウンドを通し、適切な知識・技術の普及、広報活動なども行っています。

 ※認定講習を修了したスタッフには「OCPマーク」を社員証に付けています。

 (OCPマークは独自で作成したものです)

 

 

【口腔ケアチームの立ち上げのきっかけ】

 当院では、平成30年度に「口腔ケアチーム」を立ち上げ、入院患者様を対象にした勉強会やラウンドに力を入れています。

 チームリーダーは「日本口腔ケア学会認定資格4級・口腔ケアアンバサダー」の資格を持つ看護師の佐々木 華加(ささき はるか)さんです。

 私が急性期病棟に配属されたとき、入院する高齢の患者様の口腔内トラブルの多さに疑問を持ったのがきっかけで、口腔ケアの達人の佐々木さんに相談し、口腔ケアについて色々と教えてもらうようになりました。

 高齢の患者様は歯のぐらつき、肥厚した舌苔、歯槽膿漏による出血、誤嚥性肺炎など介護度が高い人ほど口腔内に関するトラブルが多くみられるのが悩みでした。

 そこで早めにアプローチするために、入院時のアセスメントとして急性期病棟に入院する高齢患者様全員(65歳以上)に対し口腔内に関する評価をしようということになりました。それに伴い、評価ツールの検討や口腔ケア用品の見直しを行い、評価忘れが無いようにクリニカルパスにも取り入れるなどスタッフ全員で口腔ケアの取り組みに力を入れました。

 以降、他の病棟から「病棟にきて教えて欲しい」という依頼も聞かれるようになり、急性期病棟のスタッフが他病棟へラウンドするという活動が少しずつ増えてきました。そして「知識や技術を指導できるスタッフを増やしチームとして活動したい」という思いが認められ、「口腔ケアチーム」が誕生しました。

 チーム員になるには、佐々木さんの講義を受けその確認テストに合格した人だけが「OCPマーク」を社員証に貼り付けることができます。活動内容としては、病棟ラウンドや勉強会の開催、実技指導をするなど、患者様並びに職員への教育も行っています。

 初代チームは栄養士も含めて7人だったものが、今年は講習を修了した6名を合わせ計13人のチームになりました。多忙な業務の傍ら、チーム活動を行うことは大変ですが看護職員一人ひとりの知識、技術の向上並びに、患者自身のセルフケア能力の向上を目指して頑張っていきたいと思います。

看護部長 中村礼子