院長あいさつ

2007年10月のあいさつ

img002在宅生活支援センターを開設しました

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 私が弘前愛成会病院に着任したのが2005年4月。2年6ヶ月が過ぎました。着任してすぐに「病院の理念と基本方針」を定めました。理念は病院が向かう進路を示します。基本方針は理念を実現するための行動目標です。この理念や基本方針を実現するために組織を構成し、さまざまな事業を展開するわけです。日々の活動を実践しながら、随時、理念や基本方針と照らして、進路を誤っていないか確認することも大切です。
 当院の理念は、「利用者一人一人を尊重し、質の高い精神医療を提供する」ことです。ホームページの表紙に「自分らしい生き方」を支える医療を目指して‥‥と書いてあります。人生とは誰にでもかけがえのないもの。人生の物語は必ずしも順風満帆ではありませんが、それでも一度きりの人生です。私たちは、常にこのことを肝に銘じ、医療を提供していきたいと考えています。
 本年9月、院内組織として「在宅生活支援センター」を開設しました。訪問看護、デイケア、医療福祉相談の3部門をこのセンターに集約し、「利用者の生活と自立を支援する」という基本方針実現のために包括的なサービスを展開することを目指しています。センターは当院のアウトリーチ型医療の基地となりますが、地域のさまざまな機関や施設の方々との連携、協力の要としても機能していければと願っています。
 このごろ、理念として掲げたことのさらに上位に、医療という営みを超えた病院の役割があるのではないかと考えるようになりました。便利さや経済的な豊かさと引き替えに私たちが失ってしまった人々の絆や暖かさ。誰もがこころ安らかに生活できる社会を再生するために何ができるか、そんなことも考えながらよりよい病院を目指していきたいと思います。 (2007年10月)

2005年7月のあいさつ

img002「自分らしい生き方」を支える医療を目指して

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 ホームページの表紙に、「自分らしい生き方」を支える医療を目指して‥‥と書きました。誰にでもかけがいのない自分の人生があります。人生の物語とは必ずしも順風満帆ではありません。時に傷つき、時に挫折し、病を得ることもあります。それでも人生は一度きりです。そして、人生は誰のものでもない、その人独自のものです。
医療、とりわけ精神医療という営みはしばしば、人生の物語のとても大事な場面にかかわることになります。苦悩の中にあるとすれば手を差しのべることができるかもしれません。もし絶望の淵に立っているとすればともに光を探せるかもしれません。混乱が激しければ自分を取り戻すまでの安全な時間と空間を提供できるかもしれません。大切な決定をしなければならないときは必要な情報を提供できるかもしれません。私たちが医療を通してできることは病を癒すことと、一人一人の人生を大切にし、それを支えることだと思います。百人の人がいれば、そこには百の物語があります。私はその物語一つ一つを大切にする医療を展開していきたいと考えています。
 弘前愛成会病院は1953年(昭和28年)に開設された精神科病院です。50年を超える歴史を刻みつつ、今に引き継がれています。私は2005 年4月に院長として着任いたしましたが、この歴史の重さと責任をひしひしと感じているところです。
 病院の主人公は言うまでもなく利用者の方々です。利用者に信頼される病院であることを目指すと同時に、誰もが、住み慣れたこの地でこころ安らかに生活できるように、病院が地域に貢献できることを願っております。 (2005年7月1日)