2005年7月のあいさつ

img002「自分らしい生き方」を支える医療を目指して

院長 田﨑 博一(たさき ひろいち)

 ホームページの表紙に、「自分らしい生き方」を支える医療を目指して‥‥と書きました。誰にでもかけがいのない自分の人生があります。人生の物語とは必ずしも順風満帆ではありません。時に傷つき、時に挫折し、病を得ることもあります。それでも人生は一度きりです。そして、人生は誰のものでもない、その人独自のものです。
医療、とりわけ精神医療という営みはしばしば、人生の物語のとても大事な場面にかかわることになります。苦悩の中にあるとすれば手を差しのべることができるかもしれません。もし絶望の淵に立っているとすればともに光を探せるかもしれません。混乱が激しければ自分を取り戻すまでの安全な時間と空間を提供できるかもしれません。大切な決定をしなければならないときは必要な情報を提供できるかもしれません。私たちが医療を通してできることは病を癒すことと、一人一人の人生を大切にし、それを支えることだと思います。百人の人がいれば、そこには百の物語があります。私はその物語一つ一つを大切にする医療を展開していきたいと考えています。
 弘前愛成会病院は1953年(昭和28年)に開設された精神科病院です。50年を超える歴史を刻みつつ、今に引き継がれています。私は2005 年4月に院長として着任いたしましたが、この歴史の重さと責任をひしひしと感じているところです。
 病院の主人公は言うまでもなく利用者の方々です。利用者に信頼される病院であることを目指すと同時に、誰もが、住み慣れたこの地でこころ安らかに生活できるように、病院が地域に貢献できることを願っております。 (2005年7月1日)